私ちゃんのにこにこ読書日記『三体』

 先日、VTuberデビューして囲いのオタクが出来た暁にbioに載せるAmazonほしい物リストを一足(一足どころではないが)先にツイートにリンクを貼る形で公開した。そうしたところ、なんと、ありがたいことに、ほしい物リストに入れていた本を親切な方にプレゼントしてもらった。そういうわけで、いつもなら本を読んでも「おもしろかった!w」で済ませてしまうが、今回はちょっとした感想のようなものを残すことにした。

 中国の大人気SF小説『三体』を読んだ。私はこの手の小説への関心は薄く、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』とThe Worlds of Robert F. Young: 16 Classic Science Fiction Stories(イタリック体がないから斜体で許して)しか読んだことがなかった。でも、とてもおもしろいと評判なので気になっていた。

 文化大革命で父親を殺された天体物理学者の葉文潔――彼女もまた反革命罪に問われていた――が謎の軍事施設にその専門知識を求められ連れてこられた。その数十年後、ナノマテリアルの研究者である汪淼は高名な科学者が相次いで自殺していることを知らされ、その背景を探るために<科学フロンティア>という世界的に大きな影響のある学術組織に潜入する。その結果、彼は科学的にあり得ない恐ろしい現象を目の当たりにすることになった。

 この作品の導入部分を簡単にまとめるとこんな感じだろうか。読むにあたって物理の知識があるに越したことはないが、知らなくても本筋を捉えることはできると思う。<三体>は三部作なので、二作目以降も読んでみないことには、はっきりとしたことは言えないが、少なくともこの一作目に関しては、私はミステリーだと思って読んだ。物理のことは何にも分からないに等しいけれど、人の不可解な死には興味があるから、その真相を知りたくて読み進めた。読んでいると「ここおかしくね?」と言いたくなる箇所もあるのだが、それは私が物理学について無知だからそう感じるだけで、実際には何もおかしくないのだろうと思うことにした。

 『三体』はいい小説だ。最初はかったるい話だと思っていたが、「人の不審な死」という要素が加わったら続きが気になって、すいすいと読み進められた。やっぱりこの要素があるとないとでは物語の輝きが違う気がする。「人が死ぬと嬉しい」なんて、とんでもない厨二発言だとは思うが、そう思うのだから仕方がない。もちろん現実での人の死は嬉しくないし、そういうニュースに触れると悲しさとか恐怖とかでいっぱいになる。本物の厨二は現実の人の死も嬉しいのだろうか。

 人が死ぬことだけがこの作品のよさではない。多数派ではないかもしれないけれど、人類社会に絶望している人は確実にいる。そういう人たちを作品内で描いたのは、すごいと思う。作者はおもしろいSF小説を書きたいという気持ちだけで『三体』を書いたのであり、その裏には世の中を批判しようとか愚かな人々を啓蒙してやろうとか、そういう気持ちは一切ないのだろう。でも、「そういう人たち」の存在を掬い上げたのは、これからも人間が生き続けていくために必要な視点を結果として人々に与えたことになるのではないか。

 <三体>において、人類がどのような選択をし、どのような結末を迎えるのか気になるので、二作目も読みたい。